働き方改革と応召義務
19.8.21
医師の働き方改革との関係で、応召義務の役割・内容に関しても見直す動きが生じています。今年の7月には「医療を取り巻く状況の変化等を踏まえた 医師法の応召義務の解釈に関する研究について」が発表されました。従来の応召義務に関する解釈論と大きく異なる考え方を採用したものではありませんが、医師が診療を拒否できると考えられるケースの具体例を多く紹介している点で、大変参考になる資料です。 一方で、医療機関に所属する皆様がこの資料を活用する際は、法律論(理論の世界)と裁判(理論と証拠の世界)の違いを意識する必要があります。つまり、「理論的には、診療を拒否できる場合」と「診療を拒否できる場合であることを裁判所に納得してもらうこと」は、似ているようで全く別の問題です。 特に、医療者と患者の間にすれ違いが生じ、信頼関係が壊れるまでは一定程度の時間・やりとりがあることが通常ですが、この経過を適切に記録・保管できているでしょうか。医療機関が何とか解決策を模索し、納得を得られるよう誠心誠意を尽くして対応しても、この点の対策が不十分だと片手落ちな結果となります。 当事務所には、大学病院での勤務経験がある弁護士が所属しており、その経験を活かし、理論を実践に活かすことに大切にしてご相談に対応させていただきます。お気軽にご相談下さい。
名古屋丸の内本部事務所 弁護士 米山 健太